安 部 公 房
新潮文庫



『壁』
これで公房デビューしました。 何か知らない間に家にあったので。
徹底的に哲学な滑稽小説。
公房の文って、一人称が多い割に感情過多じゃないのが疲れなくていい。

「  悲しみはお茶の味をよくするものです。
   だからぼくはきっと悲しかったにちがいありません。  」

今のところ読み返した本第一位です。
この人天才すぎて、他にコメントが思いつきません。


『箱男』
冒頭で主人公の男が箱を作っている工程を読むと、
もしかして公房、これ書くために箱、作ったかな、と…。


『砂の女』
昆虫採集。 砂の流体力学。 罪と罰のパラドクス。
公房にしてはいたって現実的に物語が展開していきますが、内容はやっぱり公房です。


『水中都市・デンドロカカリヤ』
これはややコアな読者向けかもしれません。
私はぐるんぐるんして好きですが。
水中都市は、怖いです。ホラーです。逝かれてます。
もうちょっとましなコメント、また書きますね…。


『燃えつきた地図』
多すぎる人の渦の中にいると、目眩がして、ふと自分の位置がわからなくなる。
地図が燃えつきるみたいに、自分がどこにいるのか、誰なのか不確かになる、
そんな頼りないアイデンティティ。
曖昧な自己が曖昧な世界を作るのか、その逆なのか。
世界の果てまで続く、自己証明のための逃走と闘争。


『笑う月』
夢日記的随筆集。
公房フリークは読みましょう。
空を飛ぶ男とのやりとりが可笑しい。


『密会』
ここに「機械猫」が出てきます。
男の妻は蒸発して、恋した少女の母親は布団になって、少女の体はだんだん歪んで。


『無関係な死・時の崖』
舌を巻きたくなります。 眠れない、やることない、退屈、という人は読みましょう。


『他人の顔』

『人間そっくり』






 大 槻 ケ ン ヂ
 



『リンウッド・テラスの心霊フィルム』 [角川文庫
筋肉少女帯の歌詞を詩集にしたものだったと思います。
詩もきてるのですが、他にも掌編がいくつかあって、これが何か良いです。
ヘンなものしか書かない(書けない)著者ですが、
文才がとてもすばらしいので、描写にいちいち妙な現実感、臨場感があります。
数あるオーケン本の中でもこれはかなり文学性の高い一册では、と思います。


『新興宗教オモイデ教』 [角川文庫
エロ・グロ・センチメンタルとでもいいましょうか。
読んだ当時は十代だったのもあり、衝撃でした。
村上龍の更にアングラ版というか、私にとっての『コインロッカー・ベイビーズ』です。
グロテスクが苦手な方、心臓が弱い方にはとてもおすすめできません。


『くるぐる使い』 [角川文庫
「キラキラと輝くもの」
「くるぐる使い」
「憑かれたな」
「春陽綺談」
「のの子の復讐ジグジグ」
「巻末特別対談 糸井重里・大槻ケンヂ、超常現象と「ヘン」を語る」収録。
本人いわく思春期超常現象小説とか何とか。
表題作は何か賞を貰っていたと思います。 映画『道』のリメイクのような内容みたいです。
「憑かれたな」も『エクソシスト』他を素地にしたエンターテイメントですが、
よく出来ていて面白いのです。
あくまで思春期小説なので、もっと大人の奥深い読み物がいい、という方にはおすすめしません。
あと巻末の対談、これも面白くてしたたか笑えます。
オカルト好きには堪らないものがあります。


『ボクはこんなことを考えている』 [角川文庫
エッセイ。初めて読んだオーケン本だったと思います。
著者のエッセイは04年〜連載中のKERAの巻末コラムの様な文体で、
面白おかしく、時々お涙な話もあり。
何かこの人も一生懸命生きてるんだなー、
自分もがんばろうかな、がんばれるかな、という気分になれる本かもしれません。


『のほほん人間革命』 [宝島社
「人間革命」のテーマのもとに、UFO、幻覚サボテン、SM、占い、タンキングなど、
結局本人の趣味じゃーんという怪しげな世界の体験ルポ。
各項興味深く面白いのはもちろんなのですが、ここに挙げたのは、
「コンタクティー岡さんを見よっ ! 対談・UFOコンタクティー岡美行氏」
の項目が素晴しいからです。
もう可笑しいときたらないです。 特に各分野の研究家さん達には一読の価値が!?


『超常事件簿--オカルトファイル』 [小学館・少年サンデーグラフィック
大槻葦彦教授との共著?
これもオカルト好きには堪りませんが、ここに挙げたのはなぜかというと、
オマケみたいに載っている、
桜玉吉さんの「UFOと私」という漫画が素敵に可笑しいからです。
いや、面白すぎます、UFOに関わる人々。





 小 川 洋 子
 



『冷めない紅茶』+「ダイヴィング・プール」 [福武文庫
文体、構成、落ちなどが巧妙で、見事です。
表題作は冒頭の描写から引き込まれましたが、
特に「ダイヴィング・プール」が何ともいえない後味の悪さで、
もやもやする読後感にやられます。
刺激に飢えている人は読みましょう(でも自己責任で)。
どこかで感じたことのあるこの胸のもやもやは、きっと誰の中にもある何か。


『貴婦人Aの蘇生』 [朝日新聞社
この作者の本は長篇は特にゆっくり味わって読むようなものが多くて、
これも話としては何がどうということはないのだけれども、
主人公が剥製マニアのオハラの窃盗場面を押さえて
相手と入れ替わったような錯覚を起こす場面や、
脅迫神経症のニコの症状の思い掛けない結末や、細かい挿話が良いです。
自分も似たような状況で、相手と自分が入れ替わったような錯覚体験をしたことがあって、
そこに共感してしまいました。


『博士の愛した数式』 [新潮社
「僕の記憶は80分しかもたない」というメモを、
服の袖口に張り付けている、元数学教授の博士。
素数は1と自分自身以外に約数をもたない数。
約数の和が自分自身になる数は完全数。
他にも友愛数や三角数や、博士に言わせると、数学の定理は、
「世界の成り立ちを表すことのできる、神の手帳にだけ記されている真理」。
そういえば数の性質は無限でフラクタルで、宇宙とよく似ている。
数学ってこんなに神秘的で美しいものだったのかー、と、
私みたいながっちり文系人間にも数学の魅力を伝えてくれます。
それにしても追憶を辿って語られる作者の物語は静寂に満ちています。
本作は読みやすくて、そしてちょっといい話。





 島 田 雅 彦
 



『僕は模造人間』
異常な歪み方が気持ち悪かったのですが、途中から、ああ何か解ると思いました。
ジプシーなところや、「人間はみんな誰かのコピー」とか。
主旨貫徹していて、小説としての完成度も高いのじゃないかと思います。
公房好きの人にもちょっとおすすめ。





 田 口 ラ ン デ ィ
 



『コンセント』 [幻冬社
タイトルが気になっていて、読んだら予想以上に面白かった。
でも電波系というのは意外だったので、やるなランディ、と。
前半の、日常から非日常へじわじわと移行していく部分が妙にリアルで、
背筋が粟立ちました。 オカルトってホラーだな。
でもエンタメに偏りすぎず、凡そ純文学的なのがよいです。
クライマックスの後、終盤は多少緊張感が弛んだけれど、
「感応」繋がりで島田雅彦と合わせて読んでもより愉しめるかもしれません。


『アンテナ』 [幻冬社
『コンセント』『アンテナ』『モザイク』の三部作ではいちばん評判よさそうなのですが、
意外性がなかったので、個人的にはそうでもなかった。
でも、妄想、呪縛、解放、なんかのキーワードには普遍的なものがあって、
最後に救いと癒しがある。
作者の本はどれもそういう点で優しい。
そしてここでもオカルトのうんちくが面白い。


『モザイク』 [幻冬社
これ、好きです。
刀を持って籠城してる移送相手との接見場面は、リアルで緊迫感があって心拍数が上がりました。
じっと見続けると意味がはがれ落ちるとか(ゲシュタルト崩壊/心理学)、
世界はモザイクとか、そういうオカルティックな観念は実は仏教の思想と近くて、
自分としては解りやすかったりします。


『できればムカつかずに生きたい』
何かの賞をとったコラム集。
久々に泣けた本です。


『もう消費すら快楽じゃない彼女へ』
これもコラムだったか、エッセイ。
同じく泣けました。感涙でした。


『オカルト』
不思議な夢とか奇妙な巡り合わせとかズレた位相とか、挿話集みたいな本。
「ごつご(ご都合)さん」が落ちると顔が読める、という話はへぇと思いました。
私はまったく落ちてません。





 太 宰 治
 



『人間失格』
完璧に作り込まれた序章と落ち。
作者の確信犯的自己耽溺。
完璧です。
聖人譚でもあると思う。


『斜陽』
洗練された綺麗な文章がすらすらと胸に入ってくる。
読み進めるうち、そこはかとなくタイトルの意味がしみてきます。


『女生徒』短編集/角川文庫
「千代女」という一遍は、読後に背中がすーすーした、
笑えない冗談みたいな話。
ブラックなサイコホラーだと思いました。 うすら怖い。





 天外伺朗/佐治晴夫
 



『宇宙のゆらぎ・人生のフラクタル』 [PHP研究所
科学者の説くスピリチュアル啓蒙書みたいなもの。
といってもそんなに難しくも説教臭くもなく、むしろやさしいです。
ここに書いてあるのは”世界の根っこ”に関することで、
日頃ひそかに自分が考えるのもそんなことだったりあんなことだったり。
科学の先端は常にオカルティックで、立証できなくても、
宇宙はきっと果てまでフラクタルに違いないと妄想じみた確信を抱いてしまうのです。
無知な自分がここから得た情報量は膨大でした。
読んだ後は、公房もランディもよりよく解る?
そしてより人に優しくなれる、かもしれない、心の処方箋的一冊。
「「やさしさ」とは何かを考える時に一番大事なことは、人の苦しみとか悲しみは、
本当は知り得ないものだということを知ることだろうと思います。」





 宮 沢 賢 治
 



プラのツアー「春と修羅」の時に改めて読もうと思って図書館で借りたのでしたが、
確か[ちくま日本文学全集]だったと思います。
「春と修羅」も、他代表作もほとんどの作品が収録された一册でした。
「注文の多い料理店」「セロ弾きのゴーシュ」「風の又三郎」「よだかの星」
「銀河鉄道の夜」「やまなし」等。
動物が出てくるお話は微笑ましいというか、滑稽味が多く笑ってしまい、
中でも「どんぐりと山猫」は傑作で、一等お気に入りです。
他「カイロ団長(確か..)」「ツェねずみ」「茨海小学校」や、
もうやばいなというのは「革トランク」「毒もみのすきな署長さん」
「蜘蛛となめくじと狸」など、
クレイジーな作風は時代の先を走っていた作者ゆえ、と思います(ほんとか)。
詩はむろん詩的で透明で。 「春と修羅」、良いです。
作中の仏教思想なんかから、この人も何か知っていた人だろうかと思いました。





 J.D.サリンジャー
 



『ライ麦畑でつかまえて』
最初は何だか退屈な話だと思ったのに、一度読み終わって、
すぐまた始めから丸々読み返してしまった、個人的にちょっと特別な感触の一冊です。
これを読んでからしばらく、「綺麗/汚い」について妙に敏感になってしまいました。
狂騒的な夢までみて、つまり見事に感化されたのでした。


『ナインストーリーズ』(短編集)
「バナナフィッシュ日和」のシーモア、「テディ」のテディ、
聖人というものについて、ツメタイヒカリのような認識を与えてくれた本。
「バナナフィッシュ-」にちりばめられた暗号の謎は、何度読み返しても解けません。


『フラニーとズーイー』
フラニーの混迷さ加減が涅槃なのかアレなのか、危うくてなんだか可愛い。
一緒になってくらくらと目眩がします。
宗教的思想のディープな一冊。


『倒錯の森』
ミザリー!! と思いました。
ブラックなんです。
「脳(ブレイン)がいるんだよ...」





 ニール・ドナルド・ウォルシュ
 



『神との対話』-AB [サンマーク出版
三部作のスピリチュアル本です。
ここでは神=潜在意識として、マーフィー理論その他を解体。
@では仕事、成功、金銭、性愛、健康などの個人的な真実
Aでは政治、経済、歴史など、世界的な真実
Bでは時空、高度に発達した存在など、宇宙的な真実
と様々な事柄について書かれてますが、
内容は仏教やキリスト教と同じ真理(道理)で、
般若心経の解説本を買おうと思っていた私ですが、これを読んだらいらなくなてしまいました。
「しなければならない事は何もない」
「愛とは必要としないこと」
「私達は一体で、存在するすべてのものであり、唯一の存在である」
この本を特に素晴しいなと思うのは、
「私(神)は自らを体験的に知るために、自らの一部を分けてあなた方を作った」というところ。
『魔の山』(トーマス・マン)にも、「神は自らの感情を表現するものとして人間を作った」
というような一文があって印象的だったのを思い出しました。
上の天外氏の本では、何で宇宙=愛になるのかというのがよく解らなかったのですが、
この本ではそのことも他のことも、疑問を差し挟む余地もなく納得できました。
そして神様の愛を納得したら、不安が消えて世界が明るく見えてきた。
魂の本質は愛、という文句が謎な人は読んでみてください。
駄文を列ねましたが、多分いっとう感動した本です。





 E・T・A・ホフマン(1776-1822)
 



『ホフマン短篇集』 [岩波文庫 池内 紀 (編訳)]
「クレスペル顧問官」「G町のジェズイット教会」「ファールンの鉱山」「砂男」
「廃屋」「隅の窓」
絶版になってましたが、先日オークションにて1993.7.15 (16刷)を念願の入手。




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